ネットフリックスで配信されている海外ドラマ『ランニング・ポイント(原題:RUNNING POINT)』。2025年6月現在、次シーズンの配信が決定している作品です。
1エピソードおよそ30分、1シーズン全10エピソードと比較的短い時間での視聴が可能で、レーティングは「16+(言葉づかい)」となっています。
LAのバスケットボールチーム「ウェーブス(WAVES)」を経営するゴードン家。物語は、その一員であるアイラがさる事情で「ウェーブス」の新たな会長に就任するところから始まります。
バスケットボールはこの作品の主軸のひとつではありますが、バスケットボールに詳しくないと楽しめない、そんなわけでもなく、プロバスケットボールの試合観戦経験なしの自分でも十分楽しむことができました。
『ランニング・ポイント』を楽しめるのはどんな人?
個人的に、このドラマを楽しめるのは次のような人だと思っています。
なぜ『ランニング・ポイント』を楽しめるのか?
このドラマには、バスケットボールが好きな人もそうではない人も楽しめる、実にさまざまな要素があると思っています。
『アグリー・ベティ』を好きな人が楽しめる理由
いきなりネタバレとなってしまい申し訳ないのですが、エピソード1の冒頭で語られるように『ランニング・ポイント』は家族の物語です。主人公のアイラを筆頭に、ゴードン家の人々が家業のバスケットボールチーム運営に奮闘する姿を描いたドタバタ家族コメディとなっています。
このゴードン家の面々は実に個性的です。チームの運営方針などのビジネスだけでなく、お互いのプライベートに関してもよく意見が食い違います。その度に家族だからと互いに遠慮会釈もなく振る舞い合っている姿が赤裸々に描かれ、『アグリー・ベティ』の主人公ベティ一家、そして彼女が働く会社の経営一族ミード家が思い出されます。
『アグリー・ベティ』は家族にまつわるトラブル・ゴタゴタが物語の大きな原動力になっていると思うのですが、『ランニング・ポイント』でもそこは同じです。
家族のやりとりにフォーカスするような作品が好きな人はきっと、ゴードン家の物語も楽しんでもらえると思います。
『私はラブ・リーガル』を好きな人が楽しめる理由
これまた少々ネタバレになってしまうのですが、主人公のアイラはゴードン家の紅一点。
なので、時にほかの家族にはない女性ならでは視点・発想で、ピンチを華麗に乗り越えていきます。そんなアイラの姿は、時に美に関する知識を武器に法廷で活躍する『私はラブ・リーガル』の主人公ジェーンを彷彿とさせるものがあります。
またアイラ自身、かなりユニークな感性の持ち主です。チーム運営に邁進する中、次々と巻き起こるトラブルについて、彼女だから思いつくような独創的な方法で切り抜けていきます。アイラの個性が存分に発揮されていく点もまた、このドラマの魅力のひとつだと感じています。
さらにもうひとつ注目したいのは、主人公アイラの右腕とも言える親友アリの存在です。
アイラを公私ともにアシストしてくれる良き相棒のアリ。彼女は実に頼もしく、まるで『私はラブ・リーガル』でジェーンをサポートする助手のテリーのよう。ジェーンとテリー、アイラとアリ。仕事でもプライベートでも互いを支え合う女性コンビを見るのが好きな人には本当におススメしたい作品です。
バスケットボールやチームスポーツに興味・関心のある人が楽しめる理由
スポーツを題材にした作品を観ていると、チームの勝敗の行方は当然気になると思います。
実際、どんなスポーツも基本的に勝敗があります。ただ、バスケットボールはチームで行われるスポーツ。チームが一丸となってゲームに臨むわけですが、選手はもちろん、監督やコーチなど多くの人々がチームを構成します。
そして、勝敗の左右にもつながるチームワーク、その良し悪しにはチーム内の人間関係が大きく絡んでくるもの。そのせいか、チームスポーツ作品では、エースやキャプテン・それ以外の選手、先輩・後輩、監督やコーチと選手などの人間模様が丁寧に描き出されていくことが多いように思います。
チームメンバー間の多様な関係性が次第にどう変わっていくのか、その変化は大きな見どころと言えるでしょう。
さらには、チームと視聴者との関係性も挙げられそうです。
視聴者にとってチームは最初のうち、誰が誰だかわからない、そんな未知の存在となっています。ですが、回を重ねていくことで、選手たちの姿が少しずつ明らかにされていく。それにつれ、視聴者は彼らにどんどん感情移入できるように。
それこそ、よく知らないはずだったチームの面々が勝敗に一喜一憂するの見ながら、自分自身のことのように感じ始めていく…。
これって、チームスポーツ作品のひとつの醍醐味ではないでしょうか。
またまた少々ネタバレで恐縮ですが、『ランニング・ポイント』でも同じです。試合の勝ち負けだけでなく、エース選手やメンバー、監督、コーチ、さらにアイラたち経営陣などチーム全体の人間関係が描かれます。
エピソードを重ねるごとに変化していくアイラとチームとの関係性。それを一緒に追いかけていくうちに、視聴者もまた「ウェーブス」を好きになっていくことでしょう。
バスケットボールに限ることなく、野球やサッカー、ラグビーなどチームスポーツものが好きな人にもぜひ『ランニング・ポイント』を観てほしいと思っています。
まとめ
このような方はきっと楽しめる海外ドラマ『ランニング・ポイント』。
家族の絆、女性・女性コンビの活躍、そしてチームスポーツ。こういった内容の好きな方には特におススメしたい作品です。
なお『ランニング・ポイント』では、近年よく取り上げられている少々センシティブなテーマ(性差別や人種・宗教の違い、性的マイノリティなど)について、令和らしい視点も交えながら描き出されています。時に世代間での考え方の違いにも触れながら、時代錯誤な意見を痛烈に皮肉るようなシーンも。

バスケットボールはあんまり詳しくないからなあ…
そんな風に迷ってしまって『ランニング・ポイント』を見てこなかった方も多いかもしれません。
(バスケットボールを知らない自分も最初は観るのをかなり躊躇いました…。)
ですが、バスケットボールは物語のほんの一部です。個性的なメンバーばかりのゴードン家の物語を楽しむのと同時に、無理なく英語に触れる時間を増やしてみてはいかがでしょうか。

