字幕で最も意訳されているかもしれない英語「nickname」

英語リスキリング

ある大好きな海外ドラマを観ていた時、「ケイト」という名前のキャラクターが警察の事情聴取で「キャサリン」と名乗っていることがありました。

あれ、ケイトじゃないの?

そう不思議に思ったのですが、よく考えてみたら、

Michael(マイケル)→ Mike(マイク)

これと同じように Kate(ケイト)も Katherine(キャサリン)を短くした呼び名、つまり「nickname(ニックネーム)」で、

警察に伝えるのは、身分証などに記載された氏名でないといけないよね…。
だから正式な名前「キャサリン」を名乗ったんだ、なるほどね。

そんな風に思ったことがありました。

英語のニックネームにはどんなのがある?

英語のニックネームには、主に次のようなものが挙げられそうです。

    【英語のニックネーム(呼び名)】
    • 名前の一部分をとったもの
    • 氏名(苗字と名前)の頭文字からできたもの
    • 誰にでも使われる一般的なもの
    • 家族や友人など特定の間柄だけで使われる特別なもの

    名前の一部分をとったもの

    名前の一部分とは言っても、どの部分を選ぶのかで変わってきます。

    頭の部分をとる

    自分が個人的にわかりやすいなと感じるのは、名前の最初の部分を持ってきた呼び名です。

    日本でも「ゆうき→ゆうちゃん」「めぐみ→めぐちゃん」などのように最初の音をとって呼ぶことがあるのではないでしょうか。

    英語も同じで、

    • William(ウィリアム)→ Will(ウィル)
    • Christopher(クリストファー)→ Chris(クリス)
    • Josephine(ジョセフィーン)→ Jo(ジョー)

    このような、最初の部分だけをとってきて後ろを省略した呼び名をよく見かけます。

    最後の部分をとる

    逆に名前の最後をとる形で短くした呼び名もあります。

    • Alfred(アルフレッド)→ Fredy(フレディ)
    • Elizabeth(エリザベス)→ Beth(ベス)

    この形のニックネームを初めて見たときにはびっくりしました。

    真ん中の部分から

    頭とおしりをって来るだけではなく、真ん中の部分を抜き出したものも存在します。

    • Olivia(オリヴィア)→ Liv(リヴ)

    海外ドラマでこう呼びかけているのを目にしたときには、一瞬聞き間違えたかと思いました…。

    氏名(苗字と名前)の頭文字からできたもの

    洋画や海外ドラマを観ていると、名前だけでなく苗字も含めた「氏名の頭文字」を並べた呼び名を持ったキャラクターが出てくることがあります。

    • Mary Jane(メリー・ジェーン)→ MJ(エムジェイ)
    • Jennifer Jareau(ジェニファー・ジャロウ)→ JJ(ジェイジェイ)

    など聞き覚えがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

    また名前ではありませんが、

    • Tommy Jr.(トミー・ジュニア)→ TJティージェイ)

    のように junior J をとってくることも。

    欧米では親をはじめ親類の名前を継ぐことがあるので、そのような場合は親子ともに同じ名前になってしまいます。それで、特に父親と息子で区別がつくよう子供に Jr. をつけて呼ぶことが。

    • 父親:Tommy
    • 息子:TJTommy Jr.

    こうやって呼び分けることで、どちらを呼んでいるのかわかるようにするわけです。

    歴史上の人物の中にも、

    父・息子/母・娘が同じ名前の人物例
    • 母「アグリッピーナ」娘「アグリッピーナ」
    • 父「セネカ」息子「セネカ」
    • 父「デュマ」息子「デュマ」

    日本語訳では大・小をつけて区別されているのを見かけます。ちょうど「大旦那・若旦那」「大先生・若先生」などと呼び分けているのと同じ感覚でしょうか…。
    (もっともこちらは名前ではなく役職名になりますけれど。)

    誰にでも使われる一般的なもの

    これまでは特定の個人を表すものでしたが、特定の誰かに限らず、誰にでも使える一般的なものもあります。

    夫婦や親子などの家族、親友、パートナーのような親しい人に呼びかけるときに使われる呼び名で、

    • dear(ディア)
    • sweetie(スウィーティー)
    • babe(べイブ)/ baby(ベイビー)
    • darling(ダーリン)
    • honey(ハニー)
    • love(ラブ) ※イギリス英語でよく耳にします

    これらは基本的に男女の別なく使えるので、夫婦がお互いに「honey」と呼び合っているのを目にすることも。

    家族や友人など特定の間柄だけで使われる特別なもの

    最後に紹介するのは、特定の人達の間だけで使われる(通じる)、そんな特別なニックネーム。

    その人の名前と何の関係もないけれど、家族や親子、親友同士など特定の人との間でのみ通じる、そんな呼び名があります。

    • peach(ピーチ)
    • monkey(モンキー)
    • peanut(ピーナツ)

    これらはすべて海外の映画やドラマの中で使われていたものです。

    なぜこう呼ぶのか、その人のちょっとしたエピソードなど何かしらがきっかけになっている場合もありますが、逆にまったく理由もなくただそう呼ばれているだけ、などという場合も。

    もちろん、なぜそう呼ばれているのか、その人物の性格などと絡めて大々的に説明する作品もありますが、自分がこれまで観てきた映画やドラマの中ではふたつ、みっつ程度だと思います。一切説明しないで当たり前のようにその呼び名を使っている作品が多い印象です。

    まとめ

    当たり前のように使われている英語のニックネーム。

    本当にたくさんの種類がありますが、基本的には日本同様、名前をもじったものが多いように感じてます。

    そもそも、長い名前ほど様々なニックネームが可能です。

    例えば、今回紹介した「Elizabeth」は「Eli-za-beth」と3音節ある長い名前。なので、すでにお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、

    Elizabeth のニックネームの例】
    • 頭の部分をとって「Eli(エリ)」
    • 真ん中をとって「Liz(リズ)」
    • 最後の部分をとって「Beth(ベス)」

    少なくともこの3通りは可能なわけです。実際これまで自分が観てきた洋画・海外ドラマでは「Lizy(リジ―)」「Liz(リズ)」「Beth(ベス)」などがありました。

    ただ英語音声・日本語字幕で観ていると、ニックネームがそのまま訳され字幕になるとは限らないなと感じています。

    意味がわかりやすいようにするためだと思うのですが、「呼ばれている人物の名前」に置き換える形で日本語字幕に訳されているのをよく見かけますし、場合によっては省略されて字幕には載っていないことも。

    特に、dear, sweetie, honey のような一般的な呼び名は、

    Hi, Beth, dear.

    のように個人の名前と一緒に使われたりするので、字幕では「やあ、ベス」などと記載され、日本語に訳されていない場合も

    ただ、ニックネームを使っている以上、その人たちは見知らぬ他人同士ではないはずです。

    その登場人物が、誰から、どう呼ばれているのか…?

    そこに注目してみると、「実は知り合いだった」「秘密の恋人同士だった」「親子だった」など秘密の関係性読めてくる、そんなことがあるかもしれません。